OKINAWENSE VOICE vol.001

OKINAWENSEを構成する「COMPANION」(仲間)が紡ぐ言葉たち。

第1回/長濱光江( OKINAWENSE Producer)



自分がいる場所で、今を生きる

沖縄に生まれ、沖縄に育った私は、物心がついたときから、環境や考え方から生まれる「違い」について疑問を持っていました。 若い頃は自分の望む環境は努力すれば変えられると、目標に向かって頑張っていましたが、必ずしもすべてが満たされるわけではありません。また、ゴールだと思っていたものがそうではなかったりすることもあります。違いを埋めるための努力をしてきたけれど、次第に「違いって埋まるのだろうか。違いが埋められたらどうなるのか。そもそも埋めることが正解なのか」、という疑問も持つようになりました。 


周りを見渡すと、個人レベルでも世界レベルでも「違い」というのはいっぱいあります。暮らし方、生き方に違いがあるからこそ、いろんなことが生まれるのです。 違いを埋めることが必要な時もありますが、相手との違いを理解し、尊重することも大切なのだと、時を重ねて気づかされることも多く、それが本当の意味で豊かに生きていくことなのではないかと思うようになりました。


振り返ってみると「違い」の答えは、私にとって身近な祈りの言葉の中にありました。祖父母や両親は、いつも「家族の幸せと健康、各々のムチブン(持ち分)・スクブン(職分)”を果たさせてください」と子や孫のために祈ってくれていたのです。ムチブン・スクブンとは、「この世に生を受けたこの子の使命、社会において果たすべき役割や務め」という意味です。年齢やキャリアを重ねるにつれて、「沖縄の先人や過去から受け継いだものを自分なりに解釈し、想いをのせて未来に託す。その通過点に自分が存在している」、というふうに考えるようになりました。もっとシンプルにいうと、私は「時」をつないでいきたい。それが私のムチブン・スクブンなのかもしれない、と。 


ムチブン・スクブンという言葉は人生を通して私を照らしてくれていました。そしていつしか、生き方に対して求めてきた答えそのものになったのかもしれません。 時をつなぐという役割の中で、「心のなかに沖縄を抱きつつ、世界へ目を向けよう」と考えていたとき、アルベルトさんと再会しました。彼の持つ音楽の世界とアーティストとしての活動の魅力に触れ、彼の表現するアートと「沖縄を発信したい」という私の想いが重なり、「OKINAWENSE(オキナウェンセ)」というプロジェクトが生まれました。 


OKINAWENSEが紡ぐ未来 

育ってきた環境や文化、そういったお互いの違いを認めあい、喜びあうこと。認め合えない摩擦もときには起きますが、受け入れ、支え合うことができます。あなたはあなたでいい、あなたの幸せと活力が魅力、そう思えることが一番だという想いがOKINAWENSEの根底にあります。 


OKINAWENSEは、このプロジェクトに興味を持ってくださったアーティストが自分の生きがいや情熱、スキルなど、様々な力や思いを繋ぐ場所になること。人々の情熱を語り、引き継がれてきた歴史、個々の生き方に想いを寄せ、環境や文化を超えて互いの違いも認め合い、それぞれが輝く個性に共感し、魅力に触れる場をOKINAWENSEでお届けできることが喜びです。 そして、プロダクトを通して個々の生き方に触れ、互いの違いを認め合い、OKINAWENSEに関わる人々が幸せになっていくこと。始まりは小さな小さな「点」でしかないかもしれませんが、その積み重ねが大切で、平和にもつながるのだと思います。 


私たちは沖縄から「沖縄のチムグクルとアーティストの魅力」を「OKINAWENSE」とともに楽しみ、紡いでいきたいと思っています。 



Profile

長濱光江(ながはま・みつえ)/OKINAWENSEプロデューサー。